過去形なんて簡単?外国人が持っている過去形のイメージを解説!
過去形は「過去の出来事や状態」を表す時に使いますが、英語のネイティブスピーカーが持っている過去形へのイメージを解説していきます。
過去形のイメージとは
過去形というと単に時制に関する文法だと思われがちですが、英語話者は過去形から「距離」を感じ取っています。
例えば下記の2つの文章を比べてみましょう。
It started raining.
It has started raining.
2つ目の英文は現在完了形なのですが、ネイティブからすると雨が降り始めたという事実を目の前に突きつけられているような、少々臨場感があるように認識します。
しかし、1つ目の文章では雨が降り始めたという事実があるだけで、過去形にはどことなく距離感があって、遠い事実のように感じます。
そしてこの距離感からwouldやcouldを使った丁寧な表現や仮定法に繋がっていきます。
丁寧な表現
助動詞を過去形にした表現(would,could,should,mightなど)は相手に丁寧な印象を与えると学校で習ったかと思いますが、過去形の持つ距離感から遠慮している雰囲気を感じ取れるため丁寧に聞こえるようです。
日本語でも「〜しますか」とストレートにいうより「〜していただけますか」と遠回しに表現した方が丁寧になるのは同じですね。
また、これらの過去形にした助動詞は丁寧になるだけでなく、助動詞が持つ意味の度合いも控えめになります。
She may come late.
She might come late.
この例文では、mayの方は彼女が来る可能性が五分五分程度なのに対し、mightの方ではさらに控えめに感じて30%程度のように感じます。
この「距離感」から仮定法に使われる過去形も説明ができます。
仮定法
I wish I had an elder brother.
仮定法では、現在のことでも事実とは違うこと・起こりそうにないことを述べるために過去形を使います。
例文で言えば、「お兄さんがいたらよかったのになぁ」と回想を巡らせている現実との“距離感”から過去形を用いています。
豆知識
では、ある試合に出る友人に以下のような言葉を掛けるとどのような意味になるでしょうか。
① If you win the game, I will buy you lunch.
② If you won the game, I would buy you lunch.
①の場合は、友人が試合に勝つ可能性は十分にあると思っていて、その友人を鼓舞するために応援している印象を与えます。
しかし②では、過去形(仮定法)が使われているため試合に勝てるとは全然思っていないと捉えられます。つまり友人を小馬鹿にしているような感じになってしまいます。
応援するつもりが、「もし〜なら」という日本語につられて②のように言うと全く違った意味合いになってしまいます。
過去形は“距離感”を作り出すというイメージを持って、しっかり使いこなせるようになりましょう。